Taketori Monogatari, cuento tradicional japonés

にほんのどうわ、かぐやひめ

 

むかし、みやこのちかくの村にたけとりのおきなとよばれているおじいさんがいました。

おじいさんはまい日山へいってたけをとり、それでかごをあみ、ざるをつくってくらしていました。

ある日、おじいさんがたけをきろうとしたらねもとのぴかぴかひかるたけがありました。

「ふしぎなたけだ。」

おじいさんはびっくりしてそのたけをそっときってみました。

するとどうでしょう。

たけのなかに小さな女の子がいました。

「なんてかわいい子だ。」

おじいさんはおおよろこびで女の子をだきあげ、いえにつれてかえりました。

「これはかみさまがさずけてくださったにちがいない。」

おばあさんもよろこんで女の子をだきしめました。

ふたりは女の子をたからもののようにしてそれはそれはだいじにそだてました。

ふしぎなことにつぎの日からおじいさんがたけをきるたびにこがねがざくざくとでてきました。

おじいさんはたちまち村いちばんのおかねもちになりました。

女の子はすくすくそだって、やがてむすめさんになりました。

まるでかがやくようにうつくしく、かぐわしいほどにきれいなところからかぐやひめとよばれるようになりました。

かぐやひめのうつくしさはみやこにもしれわたり、ひとめみたいというひとがつぎつぎとおじいさんのやしきにやってきました。

「かぐやひめをぜひともわたしのよめにください。」

男のひとたちはみんな手をあわせてたのみました。

そのなかに雨の日もかぜの日もおじいさんのやしきへきて、かぐやひめをぜひよめにほしいという五人のひとがいました。

どのひともみぶんがたかくたいへんなおかねもちでした。

「かぐやひめはかみさまからさずかったむすめです。だれにもさしあげることはできません。」

おじいさんがいくらことわっても

五人はあきらめようとしません。

おじいさんはこまってしまい、かぐやひめにいいました。

「どのかたもりっぱなひとばかりだ。おまえもはやくよめにいってわしらをあんしんさせておくれ。」

するとかぐやひめがいいました。

「それならめずらしいものをみつけてきたひとのところへおよめにいきます。」

そこでおじいさんは五人にかぐやひめのことばをつたえました。

「いしづくりのみこはてんじくへいってほとけさまのつかっていた石のはちをもってきてください。くらもちのみこはほうらい山へいって白いみのなるこがねの木をひとえだおってきてください。あべのうだいじんはもろこしへいって火ねずみのかわごろもを。おおとものだいなごんはりゅうのくびにある五色の玉を。それからいそのかみのちゅうなごんはつばめがたまごといっしょにうむというこやすがいをもってきてください。」

みんなひとの手にはいらないたからものばかりです。

五人はぽかんとしてかおをみあわせました。それでもなんとか手に

いれなくてはかぐやひめをもらうことができません。

いしづくりのみこはてんじくへいくとうそをつき、みやこをでていきました。

あちこちのおてらをまわり、ふるい石のはちをみつけてきました。

それをにしきのふくろにいれ、かぐやひめのところへもっていきました。

「やっとはちをみつけててんじくからもどってきました。」

でもかぐやひめはきたないはちをみていいました。

「これはどこかのおてらでみつけてきたはちでしょう。ほんとうにほとけさまのはちならもっとうつくしくひかりかがやいているはずです。」

いしづくりのみこははずかしくなり、こそこそにげていきました。

くらもちのみこはほうらい山へいくといってふねにのりこみました。

でもほうらい山がどこにあるのかもわかりません。

そこでこっそりもどると、こがねざいくのめいじんたちをあつめてこがねのえだをつくらせました。さすがはめいじんたちです。

かぐやひめにもほんものとみわけがつかないほどでした。

かぐやひめがこまっているとそこへめいじんたちがてがみをとどけました。

「こがねのえだをつくったのにくらもちのみこはおかねをはらってくれません。どうかひめのほうではらってください。」

たちまちにせものとわかり、くらもちのみこもあわててにげかえりました。

あべのうだいじんはもろこしのふねがくるみなとへいってたくさんのかねをはらい、火ねずみのかわごろもを手にいれました。

かぐやひめがはこをあけるとうつくしいかわごろもがはいっていました。

「これはてんじくのおぼうさまがはるばるもろこしへもってきたものです。」

うだいじんがとくいになってせつめいしました。

「それでは火のなかにいれてみましょう。火ねずみのかわごろもならもえることはありません。」

ところが火のなかのかわごろもはたちまちもえだしてしまいました。うだいじんはかっとしていいました。

「あのしょうにんめ、よくもわしをだましたな。」

おおとものだいなごんはじぶんでふねにのり、りゅうをさがしにでかけました。おきにでたとたん、ひどいあらしになりました。

ふねはこのはのようにゆれ、いまにもしずみそうです。

「りゅうをつかまえようとしたからりゅう王さまがおこりだしたのだ。」

せんどうたちもふるえあがりました。だいなごんはもういきたここちもありません。おもわず手をあわせてさけびました。

「りゅう王さまどうかおゆるしください。もうりゅうの玉をほしがったりしませんから。」

それでも三日三ばん海はあれつづけ、ようやくはまべにながれつきました。

だいなごんはそれっきりかぐやひめのところへはいきませんでした。

いそのかみのちゅうなごんはほくほくしていました。

つばめのすならどこにでもあります。

ある日、天子さまのごてんにあるくらののきしたにつばめのすをみつけました。

さっそくけらいたちにあしばをつくらせ、かごをつりました。

かごにのったちゅうなごんがすのなかに手をいれるとこやすがいがありました。

「みつかったぞ!はやくかごをおろせ。」

けらいたちがあわててつなをもちあげたら、かごがおっこち、ちゅうなごんもあおむけにたおれました。

それでもこやすがいをしっかりとにぎっています。

でも、よくよくみてみたらつばめのふんでした。

だれもよめにすることができなかったかぐやひめはますますうつくしくなっていきました。

ところがそれから四年めの春がきたころです。

かぐやひめが月をながめてはなみだをながすようになりました。

「なにかしんぱいごとでもあるのかい。」

おじいさんがきいてもおばあさんがきいてもやさしくほほえんでくびをふるばかりです。

それでも月がまるくなるにつれて、かぐやひめはますますかなしがり、すすりなくようになりました。

「おまえのかなしそうなすがたをみているとわたしまでかなしくなってしまう。」

「おねがいだからわけをはなしておくれ。」

おじいさんもおばあさんもなみだをながしていいました。

するとかぐやひめも目にいっぱいなみだをためていいました。

「じつはわたしは月のみやこのものです。こんど十五夜のばんがきたら天人たちがむかえにやってきます。わたしをかわいがってくれたおとうさまやおかあさまとわかれるのかとおもうとそれがかなしくて……」

おじいさんは天子さまにたのんでかぐやひめをまもってもらうことにしました。

十五夜の日がくると、天子さまのけらいが二千人もきておじいさんのやしきのまわりをかこみました。

やねの上にもゆみやをもったけらいがずらりとならび、月のみやこのひとをひとりのこらずうちとってしまおうとまちかまえました。

かぐやひめはやしきのいちばんおくのへやにいれられ、おじいさんとおはあさんがしっかりとだきかかえました。

やがてよるになり、まん月がのぼりはじめると、空がまひるのようにあかるくなりました。

すると大きなくもがゆっくりとおりてきました。

くもの上にはくるまをかこむようにしておおぜいの天人たちがたっていました。

うっとりとながめていたけらいたちがあわててゆみにやをつがえました。

ところがどうしたというのでしょう。

みんな力がぬけてしまい、どうしてもからだをうごかすことができません。

天人たちをのせたくもがにわからすこし上のところでとまりました。

すみきったこえがひびきわたりました。

「たけとりのおきな、かぐやひめをむかえにきました。これまでひめをそだててくれてありがとう。」

そのとたん、しめきっていたやしきのとが音もなくあいて、かぐやひめがふたりのそばをはなれました。

かぐやひめはにわへでると天女のはごろもをまといました。

「おとうさま、おかあさま、おわかれです。どうかこれをわたしとおもってたいせつにしてください。」

かぐやひめはきていたきものをおじいさんにわたしてくるまにのりました。

「さようなら。」

天人たちにかこまれたかぐやひめはまん月のひかりかがやくなかをたかくたかくのぼっていきました。

日本の童話、かぐや姫

 

むかし、みやこの近くの村に竹取のおきなと呼ばれているおじいさんがいました。

おじいさんは毎日山へ行って竹を取とり、それで籠を編み、ざるを作って暮らしていました。

ある日、おじいさんが竹を切ろうとしたら根本のぴかぴか光る竹がありました。

「ふしぎな竹だ。」

おじいさんはびっくりしてその竹をそっと切ってみました。

するとどうでしょう。

竹の中に小さな女の子がいました。

「なんてかわいい子だ。」

おじいさんは大喜びで女の子を抱き上げ、家につれて帰りました。

「これは神様が授けて下さったに違いない。」

おばあさんも喜んで女の子を抱きしめました。

二人は女の子を宝物の様にしてそれはそれは大事に育てました。

不思議な事に次の日からおじいさんが竹を切る度に黄金がざくざくと出てきました。

おじいさんはたちまち村一番のお金持ちになりました。

女の子はすくすく育ってて、やがて娘さんになりました。

まるで輝くように美しく、かぐわしいほどに綺麗なところからかぐや姫と呼ばれるようになりました。

かぐや姫の美しさはみやこにも知れ渡り、一目見たいと言う人が次々とおじいさんの屋敷にやって来ました。

「かぐや姫をぜひとも私の嫁に下さい。」

男の人達はみんな手を合わせて頼みました。

その中に雨の日も風の日もおじいさんの屋敷へ来て、かぐや姫をぜひ嫁に欲しいと言う五人の人がいました。

どの人も身分が高く大変なお金持ちでした。

「かぐや姫は神様から授かった娘です。だれにも差し上げることはできません。」

おじいさんがいくら断っても五人は諦めようとしません。

おじいさんはこまってしまい、かぐや姫に言いました。

「どの方も立派な人ばかりだ。お前も早く嫁に行ってわしらを安心させておくれ。」

するとかぐや姫が言いました。

「それなら珍しい物を見つけてきた人のところへお嫁に行きます。」

そこでおじいさんは五人にかぐや姫の言葉を伝えました。

「石作皇子は天竺へ行って仏様の使っていた石の鉢を持ってきて下さい。車特皇子は蓬莱山へ行って白い実のなる黄金の木を一枝折ってきて下さい。阿部の右大臣はもろこしへ行って火ねずみの皮衣を。大伴大納言は竜の首にある五色の玉を。それから石上中納言はつばめが卵といっしょに産むという子安貝を持って来て下さい。」

みんな人の手にはいらない宝物ばかりです。

五人はぽかんとして顔を見合わせました。それでもなんとか手にいれなくてはかぐや姫をもらうことができません。

石作皇子は天竺へ行くと嘘をつき、みやこを出ていきました。

あちこちのお寺をまわり、古い石の鉢を見つけてきました。

それを錦の袋にいれ、かぐや姫のところへ持っていきました。

「やっと鉢を見つけて天竺から戻ってきました。」

でもかぐや姫はきたない鉢を見て言いました。

「これはどこかのお寺で見つけてきた鉢でしょう。本当に仏様の鉢ならもっと美しく光り輝いているはずです。」

石作皇子は恥ずかしくなり、こそこそ逃げて行きました。

車特皇子は蓬莱山へ行くと言って船に乗りこみました。

でも蓬莱山がどこにあるのかも分かりません。

そこでこっそり戻ると、黄金細工の名人たちを集めて黄金の枝を作らせました。

さすがは名人たちです。

かぐや姫にも本物と見分けがつかないほどでした。

かぐや姫がこまっているとそこへ名人たちが手紙を届けました。

「黄金の枝を作ったのに車特皇子はお金を払ってくれません。どうか姫のほうで払って下さい。」

たちまち偽物のとわかり、車特皇子もあわてて逃げ帰りました。

阿部の右大臣はもろこしの船が来る港へ行って沢山の金を払い、火ねずみの皮衣を手にいれました。

かぐや姫が箱を開けると美しい皮衣が入っていました。

「これは天竺のおぼうさまがはるばるもろこしへ持って来た物です。」

右大臣と得意になって説明しました。

「それでは火の中に入れてみましょう。火ねずみの皮衣なら燃えることはありません。」

ところが火の中の皮衣はたちまち燃え出してしまいました。

右大臣はかっとして言いました。

「あの商人め、よくもわしを騙したな。」

大伴大納言は自分で船に乗り、竜を探しに出かけました。

沖に出たとたん、ひどい嵐になりました。

船は木の葉の様に揺れ、いまにも沈みそうです。

「竜を捕まえようとしたから竜王さまが怒りだしたのだ。」

船頭たちも震えあがりました。

大納言はもう生きた心地もありません。

おもわず手を合わせて叫びました。

「竜王さまどうかおゆるし下さい。もう竜の玉をほしがったりしませんから。」

それでも三日三晩海は荒れ続け、ようやく浜辺に流れ着きました。

大納言それっきりかぐや姫の所へは行きませんでした。

石上中納言はほくほくしていました。

つばめの巣ならどこにでもあります。

ある日、天子様の御殿にある倉の軒下につばめの巣を見つけました。

さっそく家来たちに足場を作らせ、籠をつりました。

籠に乗った中納言が巣の中に手を入れると子安貝がありました。

「みつかったぞ!早く籠を下ろせ。」

家来たちが慌てて綱を持ち上げたら、籠が落っこち、中納言も仰向けに倒れました。

それでも子安貝をしっかりと握っています。

でも、よくよく見てみたらつばめの糞でした。

だれも嫁にすることができなかったかぐや姫はますます美しくなっていきました。

ところがそれから四年目の春が来たころです。

かぐや姫が月を眺めては涙を流すようになりました。

「なにか心配事でもあるのかい。」

おじいさんがきいてもおばあさんが聞いても優しくほほえんで首をふるばかりです。

それでも月が丸くなるにつれて、かぐや姫はますます悲しがり、すすり泣きようになりました。

「お前の悲しそうな姿を見ていると私まで悲しくなってしまう。」

「お願いだから訳を話しておくれ。」

おじいさんもおばあさんも涙を流して言いました。

するとかぐや姫も目にいっぱい涙をためて言いました。

「じつは私は月のみやこの者です。こんど十五夜の晩が来たら天人たちが迎えにやってきます。私をかわいがってくれたお父様やお母様と別れるのかと思うとそれが悲しくて……」

おじいさんは天子様に頼んでかぐや姫を守ってもらうことにしました。

十五夜の日が来ると、天子様の家来が二千人も来ておじいさんの屋敷の周りを囲みました。

屋根の上にも弓やを持った家来がずらりと並び、月のみやこの人を一人残らず打ち取ってしまおうと待ち構えました。

かぐや姫は屋敷の一番奥の部屋に入れられ、おじいさんとおはあさんがしっかりと抱きかかえました。

やがて夜になり、満月が登り始めると、空が真昼の様に明るくなりました。

すると大きな曇がゆっくりと降りてきました。

曇の上には車を囲むようにして大勢の天人たちが立っていました。

うっとりと眺めてい家来たちが慌てて弓に矢をつがえました。

ところがどうしたと言うのでしょう。

みんな力が抜けてしまい、どうしても体を動かすことができません。

天人たちを乗せた曇が庭から少し上の所で止まりました。

すみきった声が響きわたりました。

「竹取のおきな、かぐや姫を迎えにきました。これまで姫を育ててくれてありがとう。」

そのとたん、閉め切っていた屋敷の戸が音もなく開いて、かぐや姫が二人のそばを離れました。

かぐや姫は庭へ出ると天女の羽衣をまといました。

「お父様、お母様、お別れです。どうかこれを私と思って大切にして下さい。」

かぐや姫は着ていた着物のをおじいさんに渡して車に乗りました。

「さようなら。」

天人たちに囲まれたかぐや姫は満月の光り輝やく中を高く高く登って行きました。