Kachikachi Yama, cuento tradicional japonés

にほんのどうわ、かちかち山

 

とんとむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました。

ある日、おじいさんがやまのはたけでまめのたねをまいていました。

ひとつぶまいたらせんつぶになあれひとつぶまいたらせんつぶになあれするとたぬきがやってきて、せんつぶまいたらひとつぶになあれひとつぶまいたらくさってしまえとからかいました。

「このいたずらだぬきめ!」

おじいさんがおいかけたらたぬきはあかんべえをしてにげていきました。

おじいさんはくやしくてたまりません。

そこで、つぎの日、たぬきのすわっていたきりかぶにとりもちをべっとりぬりつけておきました。

おじいさんがまめをまいていたらたぬきがやってきて、きりかぶにこしをかけ、せんつぶまいたらひとつぶになあれひとつぶまいたらくさってしまえとからかいだしました。

「それっ!」

おじいさんがなわをもってとびだしました。

たぬきがにげようとするとおしりにとりもちがくっついてたつことができません。

たぬきはおじいさんにつかまってぐるぐるまきにしばられてしまいました。

おじいさんはたぬきをかついでいえにもどっていきました。

「おばあさん、こんやはたぬきじるじゃ。」

「ほんにまあ、よくふとったたぬきだこと。ついでにおいしいあわもちもつくりましょう。」

「それじゃちょっくらまちへかいものにいってくるからたぬきがにげださんようにきをつけておくれ。」

おじいさんはたぬきをだいどころのはりにつるすと、

まちへでかけていきました。

おばあさんがあわもちをついていたらたぬきがいいました。

「おばあさん、おばあさん、おらもてつだうからなわをほどいておくれ。」

「いいや、おまえなんかにだまされないぞ。」

「だますなんてとんでもない。もちつきがすんだらまたしばればいい。」

「なるほど。それもそうだ。」

きのいいおばあさんはたぬきをおろしてなわをほどいてあげました。

そのとたん、たぬきはきねでおばあさんのあたまをぽかり。

かわいそうにおばあさんはそれっきりうごかなくなりました。

そんなこととはしらないおじいさん、おいしいあわもちもできたころだともどってきたら、おばあさんがしんでいてたぬきがいません。

「ひどいよ、ひどいよ。」

おじいさんはおばあさんをだいてなきました。

そのこえをきいてやまからうさぎがやってきました。

「おじいさん、どうしてないているのです。」

おじいさんがわけをはなすとうさぎがいいました。

「もうなかないでください。わたしがきっとかたきをとってあげます。」

うさぎがやまでかやをかっているところへたぬきがやってきました。

「うさぎどん、かやなどかりとってどうする。」

「ことしのふゆはうんとさむいそうだからこれでいえをつくるのさ。」

「そんならおらもてつだうからいえにいれてくれ。」

「いいとも。」

そこでたぬきはうさぎといっしょにいっぱいかやをかりとりました。

「それじゃはこぶとしようか。」

うさぎもたぬきもせなかにかやのたばをせおって

やまみちをおりていきました。

うさぎはたぬきのうしろでかちかち火うちいしをうちました。

「うさぎどん、かちかちというのはなんのおとだい。」

「かちかちやまのかちかちどりがないているんだよ。」

「そうか、かちかちどりがないているのか。」

たぬきがあるきだすとうさぎはたぬきのせおっているかやのたばに火をつけました。

かやはたちまちもえあがってぼうぼうおとをたてました。

「うさぎどん、ぼうぼういうのはなんのおとだい。」

「やまでぼうぼうどりがないているんだよ。」

「そうかぼうぼうどりがないているのか。」

いっているうちにせなかがあつくなり、あわててかやをはずそうとしましたがもうまにあいません。

「あちあち、はやく火をけしてくれ。」

たぬきはもがきながらかけていきました。

つぎの日、うさぎがたでやまでたでのはっぱをもんでいたら、やけどをしたたぬきがやってきました。

「やいうさぎ、かちかちやまではよくもひどいめにあわせてくれたな。」

「はてなんのことやら。おらはたでやまのうさぎで、かちかちやまなんてしらないよ。」

「そんならここでなにをしている。」

「やけどのくすりをこしらえているところだ。」

たぬきがにこっとしました。

「ちょうどよかった。おらのせなかにもつけてくれ。」

「よしきた。」

うさぎは赤くただれたたぬきのせなかにぴりぴりからいしるをぬりつけました。

「いててて……」

たぬきがとびあがりました。

そのままもがくようなかっこうでにげていきました。

そのつぎの日、うさぎがすぎばやしでふねをつくっていたら、またまたやけどしたたぬきがやってきました。

「やいうさぎ、たでやまではよくもひどいめにあわせてくれたな。」

「はてなんのことやら。おらはすぎやまのうさぎでたでやまなんてしらないよ。」

「そんならここでなにをしている。」

「ことしのふゆはさむくてやまのたべものもとれないそうだから海へさかなをとりにいくふねをつくっているところだ。」

それをきいてたぬきもふねがほしくなりました。

「たのむからおらにもふねをつくってくれ。」

「いいとも。たぬきどんにはくろくてじょうぶなふねをつくってあげよう。はやくどろをはこんできなよ。」

たぬきはよろこんでどろをはこんできました。

うさぎはそのどろにまつやにをまぜてどろぶねをつくってあげました。

「こりやいいふねができたぞ。さっそくさかなをとりにいこう。」

うさぎは木のふねにのり、たぬきはどろぶねにのっておきへこぎだしました。

しばらくしてうさぎがふなべりをばんばんたたきながらうたいました。

木のふねすいすいはあえんやこらさのさ

どろぶねぶくぶくはあえんやこらさのさ

それをみてたぬきがいいました。

「どうしてへんなうたをうたってふなべりをたたく。」

「なあにこうするとさかながよってくるからさ。」

そこでたぬきもまけじとふなべりをたたいてうたいました。

どろぶねすいすいはあえんやこらさのさ

木のふねぶくぶくはあえんやこらさのさ

するととつぜんどろぶねがざっくりさけてずんずんしずみはじめました。

「わあ、おらのふねがしずむ。うさぎどんたすけてくれえ……」

たぬきがさけびました。

でもうさぎはしらんかお。

たぬきはどろぶねといっしょにずぶずぶしずんでいきます。

「ああ、もうだめだ……」

それをみてうさぎがいいました。

「おばあさんのかたきうちだ。おもいしったか。」

たぬきはがっくりとうなだれ、そのまま海のそこへしずんでいきました。

 

日本の童話、かちかち山

 

とんと昔あるところにお爺さんとお婆さんがいました。

ある日、お爺さんが山の畑で豆の種をまいていました。

一粒まいたら千粒になあれ一粒まいたら千粒になあれすると狸がやって来て、千粒まいたら一粒になあれ一粒まいたら腐ってしまえとからかいました。

「このいたずらだぬきめ!」

お爺さんが追いかけたら狸はあかんべえをして逃げて行きました。

お爺さんは悔しくてたまりません。

そこで、次の日、狸の座っていた切り株に鳥もちをべっとり塗つけておきました。

お爺さんが豆をまいていたら狸がやってきて、切り株に腰掛け、千粒まいたら一粒になあれ一粒まいたら腐ってしまえとからかいだしました。

「それっ!」

お爺さんが縄を持って飛び出しました。

狸が逃げようとするとお尻に鳥もちがくっついて立つことができません。

狸はお爺さんに捕まってぐるぐる巻きに縛られてしまいました。

お爺さんは狸をかついで家に戻っていきました。

「お婆さん、こんやは狸汁じゃ。」

「ほんにまあ、よくふとった狸だこと。ついでに美味しい粟餅も作りましょう。」

「それじゃちょっくら町へ買い物に行ってくるから狸が逃げ出さんように気を付けておくれ。」

お爺さんは狸を台所のはりに吊るすと、町へ出かけて行きました。

お婆さんが粟餅をついていたら狸が言いました。

「お婆さん、お婆さん、おらも手伝うから縄をほどいておくれ。」

「いいや、お前なんかに騙されないぞ。」

「騙すなんてとんでもない。餅つきがすんだらまた縛ればいい。」

「なるほど。それもそうだ。」

気のいいお婆さんは狸を降ろして縄をほどいてあげました。

そのとたん、狸はきねでお婆さんの頭をぽかり。

かわいそうにお婆さんはそれっきり動かなくなりました。

そんなこととは知らないお爺さん、美味しい粟餅もできたころだと戻ってきたら、お婆さんが死んでいて狸がいません。

「ひどいよ、ひどいよ。」

お爺さんはお婆さんを抱いて泣きました。

その声を聞いて山から兎がやってきました。

「お爺さん、どうして泣いているのです。」

お爺さんが訳を話すと兎が言いました。

「もう泣かないで下さい。私がきっと仇を取ってあげます。」

兎が山で茅を刈っている所へ狸がやってきました。

「兎どん、茅など刈りとってどうする。」

「今年の冬はうんと寒いそうだからこれで家を作るのさ。」

「そんならおらも手伝うから家に入れてくれ。」

「いいとも。」

そこで狸は兎と一緒にいっぱい茅を刈り取りました。

「それじゃ運ぶとしようか。」

兎も狸も背中に茅の束を背負って山道を下りて行きました。

兎は狸の後ろでかちかち火打石を打ちました。

「兎どん、かちかちというのは何の音だい。」

「かちかち山のかちかち鳥がないているんだよ。」

「そうか、かちかち鳥がないているのか。」

狸が歩き出すと兎は狸の背負っている茅の束に火をつけました。

茅はたちまち燃え上がってぼうぼう音を立てました。

「兎どん、ぼうぼういうのは何の音だい。」

「山でぼうぼう鳥がないているんだよ。」

「そうかぼうぼう鳥がないているのか。」

言っているうちに背中が熱くなり、慌てて茅をはずそうとしましたがもう間に合いません。

「あちあち、早く火を消してくれ。」

狸はもがきながら駆けて行きました。

次の日、兎が蓼山で蓼の葉っぱをもんでいたら、火傷をした狸がやってきました。

「やい兎、かちかち山ではよくもひどい目にあわせてくれたな。」

「はてなんのことやら。おらは蓼山の兎で、かちかち山なんて知らないよ。」

「そんならここで何をしている。」

「火傷の薬をこしらえているところだ。」

狸がにこっとしました。

「ちょうどよかった。おらの背中にもつけてくれ。」

「よしきた。」

兎は赤くただれた狸の背中にぴりぴりからい汁をぬりつけました。

「いててて……」

狸が飛び上がりました。

そのままもがくようなかっこうで逃げて行きました。

その次の日、兎が杉林で船を作っていたら、またまた火傷した狸がやってきました。

「やい兎、蓼山ではよくもひどい目に合わせてくれたな。」

「はてなんのことやら。おらは杉山の兎で蓼山なんて知らないよ。」

「そんならここで何をしている。」

「今年の冬は寒くて山の食べ物も取れないそうだから海へ魚を捕りに行く船を作っているところだ。」

それを聞いて狸も船が欲しくなりました。

「たのむからおらにも船を作ってくれ。」

「いいとも。狸どんには黒くて丈夫な船を作ってあげよう。早く泥を運んできなよ。」

狸はよろこんで泥を運んできました。

兎はその泥に松やにを混ぜて泥ぶねを作ってあげました。

「こりゃいい船ができたぞ。さっそく魚を捕りにいこう。」

兎は木の船に乗り、狸は泥ぶねに乗って沖へ漕ぎだしました。

しばらくして兎が船べりをばんばん叩きながら歌いました。

木の船すいすいはあえんやこらさのさ

泥ぶねぶくぶくはあえんやこらさのさ

それを見て狸が言いました。

「どうして変な歌を歌って船べりを叩く。」

「なあにこうすると魚が寄ってくるからさ。」

そこで狸も負けじと船べりを叩いて歌いました。

泥ぶねすいすいはあえんやこらさのさ

木の船ぶくぶくはあえんやこらさのさ

すると突然泥ぶねがざっくりさけてずんずん沈み始めました。

「わあ、おらの船が沈む。兎どん助けてくれえ……」

狸が叫びました。

でも兎は知らん顔。

狸は泥ぶねと一緒にずぶずぶ沈んでいきます。

「ああ、もうだめだ……」

それをみて兎が言いました。

「お婆さんの敵討ちだ。思い知ったか。」

狸はがっくりとうなだれ、そのまま海の底へ沈んでいきました。